アジア太平洋地域や国内の自然保護プロジェクトを支援する事業


日本経団連自然保護基金/日本経団連自然保護協議会


KNCF NEWS 巻頭言 No.39

KNCF NEWS 巻頭言 No.39

人類と地球環境との共存


松下電器産業株式会社
取締役
大鶴 英嗣
■ 新たなくらし価値創造に向けて

私たちのこの地球は、人類のみならず、すべての生命にとってかけがえのない存在です。しかし、私たちが営んできた経済活動による地球環境への負荷は、この美しい生命体の許容範囲を既に超えているのではないかとの認識をしています。地球環境の保全は、まさに人類共通の喫緊の課題であり、企業にとりましても存続のための必須条件として取り組む必要があるように思います。このため、松下グループでは、21世紀初頭に目指すべき事業ビジョンとして、「ユビキタスネットワーク社会の実現」と「人類と地球環境との共存」を掲げています。
松下グループの考える「人類と地球環境との共存」は、製品やサービスを通じてお客様の生活の質を向上させながらも、環境負荷軽減に寄与できる製品を創造し続けていくことを目指しており、こうした考え方を私どもは「新たなくらし価値創造」と呼んでおります。
「新たなくらし価値創造」を実現していくためには、本業としての活動においても、また企業市民としての活動においても、その根底に「人類と地球環境との共存」の原点として、「自然を愛する行動」がなければならないと考えます。このため松下グループでは、「松下グリーンボランティア倶楽部」の運営、各事業場の緑化を進める「共存の森」活動、「さくら広場」の整備、その他環境保全や緑化を進めるNPOの支援などを積極的に行っています。その中から代表的な事例として、「Nのエコ計画」と「学校林」の取り組みを紹介します。

■ 「Nのエコ計画」を通じた環境取り組み

当社では、地球温暖化を進めないために冷蔵庫や洗濯機などのいわゆる“白物家電”において、省エネ・節水商品の開発・普及と、お客様と共に緑を増やす活動を連動させて推進していく「Nのエコ計画」を2003年から展開しています。「Nのエコ計画」では、当社従来機種と現在の製品を比較して電気代や水道代がどれだけ節約できるかを具体的に示した内容を、マスコミ宣伝、Web、店頭などで訴求し、環境に配慮した製品の大切さを訴えています。また、緑を増やす活動としては、お客様のご協力を得て全国3,741カ所の幼稚園に花の種を贈る活動や、サクラの苗木4,814本を全国に植樹する活動などを展開して、くらしにおける身近な環境活動に共感をいただいています。
「Nのエコ計画」の第1弾のキャッチコピーは、「家電でエコする毎日へ。」と「赤ちゃんの数だけ緑をふやそう!」でした。環境配慮への訴求は、危機感を訴えるものが多い中で、身近なくらしの中で緑を増やそうと、参加型の呼びかけをしたことが好評で、お陰様で高い評価をいただきました。今後とも、緑を増やすなどくらしにおける身近な環境活動を通して、持続可能な「新たなくらし価値創造」に貢献していきたいと考えています。


「Nのエコ計画」のキャンペーンポスター。
■ 社会貢献活動における環境取り組み(学校林の支援について)

横浜市立谷本小学校の学校林を手入れする子どもたち。

また、当社では、主として小中学校の学校林活動の支援もしています。学校林は、1974年には全国で約5,300校(小中高)が学校林を所有、面積も3万haもありましたが、2001年には約3,300校、面積も2万haまで減少しています(社団法人 国土緑化推進機構調べ)。子どもの教育的効果と学校の財産育成面での役割が期待され一時大いに脚光を浴びた学校林ですが、高度成長期における海外からの安価な材木輸入や、その後の生徒数の減少に伴う学校の統廃合などもあり、学校林は長らく忘れられた存在になっていました。そうした状況にあった学校林ですが、2000年に「森林・林業基本計画」の策定および「総合学習」の導入をきっかけに、再び注目を集めるようになりました。
しかし既に荒廃した学校林を、子どもたちの教育やレクリエーションの場として再び活用できるようにすることは並大抵ではありません。財団法人オイスカからの支援要請を受けて、オイスカと当社の協働事業「学校林整備プロジェクト」がスタートしたのは2002年ですが、過去4年間で首都圏・中部・関西地区で延べ8校の整備と啓発のためのフォーラムを2回、お手伝いさせていただきました。やってみて気づいたことですが、このプロジェクトは実に多くの団体や個人の方のご協力がなければできない事業だということです。先生や教育委員会・PTAなど学校関係者や地元の地権者・ボランティア団体・整備事業者など直接かかわっていただく方々に加え、国や県・市町村の関係者の皆様との連携プレーが欠かせない、いわば「学校林」を核とした市町村活性化事業でもあるということがわかりました。学校林活動にかかわった方々や子どもたちが、「人類と地球環境のよりよい関係」を考えていただく機会になればと願いつつ、今後とも末長く地域の皆様に愛され、子どもたちの笑顔や歓声が飛び交う環境教育のフィールドを一つでも多く提供したいと考えております。