アジア太平洋地域や国内の自然保護プロジェクトを支援する事業


日本経団連自然保護基金/日本経団連自然保護協議会


KNCF NEWS 巻頭言 No.42

KNCF NEWS 巻頭言 No.42

サステナビリティの追求 〜「共生」の実現に向けて〜


キヤノン株式会社
取締役総務本部長
山崎 啓二郎

グローバル化の進展に伴い、経済的・社会的課題が多様化、複雑化しています。その中でも、環境問題は2008年7月に行われるG8洞爺湖サミットでの重要テーマに選ばれているように、私たちを含めあらゆる人々にとって最も切実なテーマの一つであるという認識が高まっています。

キヤノンは、1988年初頭から創業以来の企業の考え方をまとめた「共生」という企業理念を掲げています。「共生」とは、文化、習慣、言語、民族などの違いを問わずに、すべての人類が末永く共に生き、共に働いて、幸せに暮らしていける社会のことであり、まさに持続的(サステナブル)な発展が可能な社会を追求することです。この企業理念の下、キヤノングループは常にイノベーションを喚起し、技術によって産業や社会生活の進歩や発展を支えることを目標に、世界各地で事業活動を展開していますが、実現には基盤となる地球環境との共生が必須であることは言うまでもありません。

地球のサステナビリティを考える時、キヤノンでは特に地球温暖化や資源枯渇などの環境問題に与える影響を重視し、環境保証活動に注力しています。業界に先駆け、90年から使用済みのトナーカートリッジの回収・リサイクル活動を開始しました。以来、世界各地で推進・拡大しており、現在は全世界で回収されたトナーカートリッジを100%再資源化しています。93年には「キヤノングループ環境憲章」を制定し、環境保証活動と経済活動の2つのベクトルを一致させていく「資源生産性の最大化」をテーマに、製品のライフサイクル全体を視野に入れ、グループ全体で環境保証活動を積極的に推進しています。

自然保護、環境保全についても、いろいろなアプローチの方法があると思います。自然保護を考える時、まず地球に暮らす私たち一人ひとりが自然の素晴らしさ、豊かさ、またそれらがもたらす恵みを感じ、主体的に地球環境を守っていくという意識を持つための機会を作ることが大切だと思います。キヤノンでは、イメージングやデジタル技術など、キヤノンらしさ、強みを生かした活動に重点を置いて世界各地で活動を行っていますが、例えば、アメリカにおいては90年から自然や野生動物の映像を紹介する公共放送協会の番組「NATURE」シリーズのスポンサーとなっています。この番組は360以上も賞を取っており、多くの視聴者の環境意識を高めることに貢献しています。また、世界的に有名なワイオミング州のイエローストーン公園財団に資金を提供し、環境の保全や絶滅の危機に瀕した野生動物の保護のための科学調査や活動を支援しています。なかでも、キヤノンの支援による教育と研究のプログラム「アイズ・オン・イエローストーン」では、キヤノンの映像機器を使って、映像記録や遠隔操作による生態観察、さらに映像ライブラリーのデジタル化などを行い、イエローストーン・Webサイト「バーチャルフィールドトリップ」から映像を配信し、世界中の数百万人に及ぶ子どもたちが学校で利用するという活動を行っています。このサイトから、多くの子どもたちが、地球環境に関する知識や保護の重要性に対する認識を身に付けています。ヨーロッパでは、98年、キヤノンヨーロッパが企業で初めてWWFコンサベーションパートナーになり、野生動物などの貴重な記録を優れたデジタル映像で1万6000以上ストックしている、WWFグローバルネットワークの写真データベースの運営に協力しています。この他、日本を含むアジアでも、植林活動、デジタルカメラを使って環境の大切さを考えるプログラム、環境セミナー、支援団体の協力の下に行う自然保護プログラムなど、さまざまな活動を展開。また、このような自然保護活動に世界中で多くの社員がボランティアとして参加しています。

冒頭にも述べましたが、経済や社会のグローバルな発展に伴い、さまざまな問題が地球規模になり、いろいろな要素が複雑に絡み合ったものになっています。環境問題と言えば、地球温暖化がまず頭に浮かぶイメージでしたが、昨今は生物多様性の維持という大きな課題も注目されています。悠久の時間の中で培われてきた自然を保護し、地球環境を保全していくには学術的な見地から有効性が担保される必要もあります。そのような意味からも、賛同する会員企業の寄付によって運営されている日本経団連自然保護基金が、継続的に、専門家や有識者の方々の吟味を経て、世界各地のNGO・NPOなどの環境保護活動に対する支援と検証を行っていることは非常に意義のあることだと思います。

私たちの社会が持続的に発展できるためには、環境に関してもテクノロジーのイノベーションが不可欠です。今後は、国・行政、産業、学術、NGO・NPOなどさまざまなセクターが協力し合い、それぞれの強みを生かしながら総がかりでサステナビリティを追求していくことが必要とされると思います。キヤノンもグループ全体で、「共生」という企業理念の下、実効性を見極めつつサステナブルな社会の実現に積極的に取り組んでいきたいと考えています。


横浜自然観察の森で開催した「キヤノン自然保護プログラム」

自然保護プログラムの中で子どもたちが昆虫を探し、イラストを描いている様子