アジア太平洋地域や国内の自然保護プロジェクトを支援する事業


日本経団連自然保護基金/日本経団連自然保護協議会


KNCF NEWS 巻頭言 No.49

KNCF NEWS 巻頭言 No.49

生物多様性保全への企業市民としての取り組みに向けて


富士ゼロックス株式会社 代表取締役社長
山本 忠人
「低炭素社会の実現」を目指す
事業領域での環境保全活動について

富士ゼロックスは1990年代から事業活動のライフサイクル・ステージ全般における環境負荷低減を目指して、商品の省エネ性能向上、商品リサイクルの徹底、有害化学物質の削減などを主要施策とする環境保全活動を展開してきた。

その結果、商品開発分野では経済産業省主催の省エネ大賞を10年連続で受賞、またアジア・中国を含むリサイクル網の構築による使用済み商品からの部品リユース拡大などの成果をあげてきた。そして今年2009年2月に「低炭素社会の実現」を目指して、ライフサイクルCO2排出量を2005年比で30%削減、及び低炭素社会にふさわしい働き方や働く場を創造し、社会システムの変革に貢献することを骨子とする2020年温室効果ガス削減目標を発表し、新たな取り組みを開始した。お客様のオフィスや業務における環境負荷を見える化し、生産性向上などの価値・効用を提供しながら、省電力、省スペース、省資源など環境負荷を統合的に削減するソリューションの開発を強化していく。


グローバル・ローカルな視点での
自然保護活動について

1992年リオデジャネイロの国連環境開発会議において「気候変動枠組条約」と同時に採択された「生物多様性条約」については、来年2010年のCOP10名古屋開催を控えて、各企業での取り組みが本格化しつつある段階だ。


ニュージーランド南島で、王子製紙・伊藤忠商事との共同出資により
約1万haのパルプ用植林を実施

当社は従来より事業の特性を反映した自然保護活動に積極的に取り組んできた。特にグローバルな視点から、事業と密接な関係にあるコピー/プリンター用紙の原材料である海外の森林資源の保護について様々な企業努力を続けている。1992年にはニュージーランドでの植林パルプ事業に資本参加し管理された持続可能な森林資源の利用を拡大、さらに地域社会や地域環境との調和に最大限配慮し持続可能な森林管理を証明するFSC認証を取得した。2004年には国内外の関連会社が海外を含む用紙サプライヤーに、森林生態系への配慮を求める調達基準を制定して協力を依頼するなどグリーン調達に努めてきた。


千葉県里山条例に基づき土地所有者と協定を締結し、
成田市で里山保全活動を実施。子どもたちも一緒に農業体験

一方、ローカルな視点では従業員のボランティア活動への支援が重要な位置を占めている。当社及び海外を含む関連会社には従業員の自主的なボランティア組織があり、福祉・国際支援・文化などへの社会貢献とともに自然保護活動が活発に展開されている。1991年にスタートした富士ゼロックス従業員のボランティア団体「端数倶楽部」には約4,000人の会員がいるが、昨年度全国で約80の自然保護団体に寄付をするとともに、現地を訪問してフィールドでの実践活動にも汗を流した。また各地の関連会社では自治体や民間団体との連携活動により、植林や里山作り、自然観察会の開催など地域に密着した活動が拡大しつつある。会社はこのような従業員の自主的な活動に対して、NPOなどに寄付する際に同額を上乗せするマッチングギフトや、1990年に発足したボランティア休職など人事制度の整備、環境ボランティアリーダー教育などの支援を行っている。

家族や地域の皆さんと一緒に汗をかくフィールド体験によって、生物多様性や生態系の価値と重要性を理解し自然保護への意識を高めることは、座学では決してできないことだ。今後も従業員と地域との共感に基づく自然保護活動が各地で定着し、生物多様性保全の大きなネットワークが出来上がるよう支援を継続していきたい。あわせて企業の枠を越えた自然保護団体や自治体、地域の皆さんとの連携活動によって社会や自然に対する感度を高めた従業員が、会社で新たな能力を発揮し、活力のある社会づくりに貢献することを期待している。

生物多様性保全に対する前向きな取り組み

やや底を打ったと言われるものの経済環境は相変わらず厳しく、当社にとっても自然保護・生物多様性保全へのリソース投入の拡大は容易な状況ではない。しかし、各方面から企業の積極的な取り組みへの期待はますます大きくなってきている。この約10年間における地球温暖化防止に向けた省エネルギー機器の開発や、RoHS指令に対応した有害化学物質の削減における競争や連携は個々の企業にとって、また業界にとって体質強化に大きく寄与した。

*電子・電気機器における特定有害物質の使用制限についての欧州連合(EU)による指令で、2006年7月に施行された。

生物多様性保全への対応も21世紀における新たな価値創造企業に変革していくため、前向きに取り組むべき課題として考えたい。従来の活動に「生物多様性」という視点を当てることによって浮かびあがる新たな課題に取り組み、企業市民として、より高い次元の環境保全・自然保護活動の実現を目指していくつもりである。

日本経団連自然保護基金の主たる支援対象であるアジア・太平洋地域は、富士ゼロックスの直接営業地域とほぼ重なっており、会員として自然保護協議会に参加することはまことに意義深いものがある。今後も自然保護協議会が経済的支援のみならず、わが国や国際社会の様々な自然保護活動においてますますリーダーシップを発揮されんことを切にお願いしたい。