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「生物多様性民間参画パートナーシップ」 アンケートについて

2015.7.13

大正大学教授/IUCN日本リエゾンオフィスコーディネーター 古田尚也

 経団連自然保護協議会は、生物多様性民間参画パートシップの事務局もつとめて いますが、同パートナーシップでは毎年、加入している事業者会員を対象として、 会員事業者の取り組み状況を把握するためにアンケートを実施しています。

今年度も7月中にアンケート用紙が各会員へ配信される予定ですが、昨年度のアンケート結果の概要について古田尚也氏(大正大学教授/IUCN日本リエゾンオフィスコーディネーター(注))に下記のとおり要約してもらいました。

↓生物多様性民間参画パートナーシップHPに報告書本文を掲載

http://www.bd-partner.org/wp-content/uploads/houkokusho2014.pdf



<古田尚也教授コメント>


生物多様性民間参画パートナーシップでは、我が国の代表的事業者の生物多様性に対する取り組み状況を把握するために2009年からアンケート調査を実施している。2014年度のアンケートは、2014 年7 月9 日~8 月28 日にかけて、電子メールによる送付と回収によって実施された。アンケート票送付数は445 で、回答数は124、回収率27.8%であった。

アンケート回答者の属性では、大企業が115 社と大半を占めた。経営理念、経営方針、環境方針への関連概念の盛り込み状況(設問II 1)では、「自然保護」、「生物多様性保全」、「自然環境教育」について盛り込んでいるとした回答がそれぞれ、94%、93%、87%と非常に高く、「持続可能な利用」が76%でそれに続き、「生物資源利用の衡平・公正性」が36%ともっとも低かった。また、今回調査で初めて質問した「自然資本」については、48%がすでに盛り込み済みと回答した。この結果から、大半の大企業においては生物多様性に関する取り組みがすでに経営方針等に反映されていることがわかる。また、最近話題となっている「自然資本」についても、多くの企業の経営方針等に盛り込まれていることが分かった。

自社の事業活動が及ぼす生物多様性への影響や依存の程度(設問II 2)については、全般的に定量的に把握しているとした回答は15%、一部定量的に把握しているとした回答は31%、全般的に定性的に把握しているとした回答が27%、一部定性的に把握しているとした回答は23%、把握していないが4%であり、ほとんどの企業が何らかの形で生物多様性との関係について把握していることが分かった。生物多様性に関する目標設定(設問II 3)については、定量的な内容を含む目標を設定しているとした回答が40%と最も多く、これに定性的な目標を設定しているとした回答が36%と続いており、多くの回答企業で生物多様性に関連する目標がすでに導入されていることが判明した。昨年度調査に比べ定量的な目標を取り入れたとした割合が10 ポイント増加しており、企業の取り組みが深化していることがうかがえる。

自社独自の「生物多様性宣言」「行動指針」「ガイドライン」などの作成状況(設問II 5)では、作成済みとした回答が67%、作成中または計画ありとした回答が6%であった。環境マネジメントシステムの中への生物多様性への取り入れについては、環境方針の中に取り入れているとした回答が79%で最も多く、次いで運用管理(維持管理)教育訓練、その他の中に取り入れているとした回答が66%であった。「愛知目標」の20 の個別目標に対する取り組み状況(設問II 8)では、気候変動(目標10)、持続可能な生産・消費計画実行(目標4)、認識向上(目標1)、自然生息地の損失抑制(目標5)などの実施率が高く、遺伝的多様性の維持(目標13)、伝統的知識(目標18)、水産資源管理(目標6)などに関する実施率が低かった。

以上に示した2014年度のアンケート調査の結果から、これまでの調査結果から大幅な変化は見られなかったものの、総じて着実に取り組みが進展している傾向が確認された。これは、生物多様性に対する取り組みが企業の中である程度浸透・定着してきていることを示していると思われる。また、昨年度調査に引き続き具体的な事例についても調査を行ったところ、264 の事例が寄せられた。

生物多様性民間参画パートナーシップ第4回大会(2014/12/2)で
発表する古田氏


(注)古田尚也氏

大正大学地域構想研究所(http://chikouken.jp/)教授、IUCN日本リエゾンオフィス、コーディネーター。生物多様性に関する国際的な政策課題の推進と地域における自然資源の持続可能な利用について研究と実践を行っている。特に2011年の東日本大震災以降は、生態系を活用した防災・減災(Eco-DRR)の国内外での推進に力を入れている。

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