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環境省との懇談会~生物多様性分野をめぐる最近の動向および2025年度主要施策等について~
2025.5.21
経団連自然保護協議会
経団連自然保護協議会は4月23日、「生物多様性分野をめぐる最近の動向および環境省の2025年度主要施策等」をテーマに、環境省とのウェビナーによる意見交換会を実施しました。当日は、同協議会会員企業から約100名が出席しました。
冒頭、挨拶した環境省自然環境局の鈴木生物多様性戦略推進室長は、昆明・モントリオール生物多様性枠組(GBF)の実行に向けた議論が民間においても進展しつつあることに触れながら、「交渉」から「実施」のステージに移りつつあることを強調しました。同じく挨拶に立った永田生物多様性主流化室長は、自然資本の毀損が止まらない状況に鑑み、次世代に自然を残していけるよう日本経済界が長期的視点に立ってネイチャーポジティブに取り組み、国内外をリードすることへの期待を表明しました。
続いて、生物多様性戦略推進室の齋藤佑介室長補佐、石井颯杜係長、自然環境計画課の福井俊介専門官より、生物多様性に関する国際動向及び国内対応の方向性について説明。今年2月にイタリア・ローマで開催された生物多様性条約第16回締約国会議で決定文書が採択された、GBFのモニタリング指標やレビュープロセス、資源動員・資金メカニズム、生物多様性と気候変動等の交渉結果の紹介がありました。加えて、26年2月までにCBD事務局への提出が求められている国別報告書のベースとなる「JBO4※1中間提言」に向けた検討状況や、IPBES※2による各種評価報告書の進捗状況等、生物多様性と生態系サービスに関する科学的な評価に関する取組み状況についても情報共有がありました。
続いて、生物多様性主流化室の大澤隆文室長補佐より、ネイチャーポジティブ経済に関する最近の動向及び環境省の取組みについて説明。昨年3月に公表された「ネイチャーポジティブ経済移行戦略」に基づいたロードマップの年度内の取りまとめを目指し、「企業と地域の価値向上」「自然資本価値の可視化と情報開示の促進」「自然関連領域の国際ルールメイキング、国際競争力強化」の3つの視点に基づき今後5年間で取り組むべき課題・施策の整理を進めている状況について情報共有がありました。加えて、これらに関連する環境省の取組みとして、ネイチャーフットプリントに関する実証事業や、生物多様性「見える化」マップの公表、自然資本の価値づけや研究開発を通じた技術の標準化に関するルール形成への参画等について紹介がありました。
最後に行われた質疑応答では、第30回気候変動枠組条約締約国会議(COP30)におけるネイチャーをテーマにした国際発信の在り方や、自然共生サイトに係る支援証明書の具体的なメリット等をめぐり、活発な意見交換が行われました。
※1 JBO:生物多様性総合評価(Japan Biodiversity Outlook)。我が国の生物多様性国家戦略や生物多様性に関する既往研究成果やデータを分析し科学的な情報を提供する報告書。環境省が事務局を務める検討会でおおよそ5年ごとに取りまとめており、現在、第4回目の評価(JBO4)について検討中。
※2 IPBES:生物多様性及び生態系サービスに関する政府間科学-政策プラットフォーム(Intergovernmental Science-Policy Platform on Biodiversity and Ecosystem Services)。生物多様性と生態系サービスに関する動向を科学的に評価し、科学と政策のつながりを強化する政府間のプラットフォームとして、2012年4月に設立された政府間組織。
環境省説明①「生物多様性に関する国際動向及び国内対応の方向性について」
環境省 自然環境局 自然環境計画課 生物多様性戦略推進室 齋藤 佑介 室長補佐 石井 颯杜 係長
環境省 自然環境局 自然環境計画課 福井 俊介 専門官
環境省説明②「ネイチャーポジティブ経済に関する最近の動向及び環境省の取組について」
環境省 自然環境局 自然環境計画課 生物多様性主流化室 大澤 隆文 室長補佐