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「SATOYAMA イニシアティブ推進プログラム(COMDEKS)」に関するセミナーを開催しました
2025.5.28
経団連自然保護協議会
経団連自然保護協議会(以下、協議会)は、2025年4月22日、経団連自然保護基金(以下、基金)が支援する「SATOYAMAイニシアティブ推進プログラム」(COMDEKS)に関するセミナーをCOMDEKS実施機関である国連開発計画(UNDP)ならびに環境省と共催しました。
COMDEKSは、日本の「里山・里海」のように、農林漁業等、人の手が関わり続けることによってつくられてきた豊かな自然の持続可能な利用を通じて、途上国において自然との共生を目指す活動を支援する国際プロジェクトです。GBFやSDGs等の達成に貢献する取組みであるとして、環境省と連携し、基金はCOMDEKSに対し5年間で3億円を拠出予定です。
セミナーには、協議会会員企業関係者、基金への寄附者をはじめ、企業やアカデミア、NGO等から約130名が対面またはオンラインで参加しました。
冒頭に開会挨拶を行った経団連自然保護協議会の西澤敬二会長は、COMDEKSは地域社会における生物多様性の保全と自然資本の持続可能な利用を促進し、自然と共生する社会を実現するための好事例になり得るとしたうえで、基金によるCOMDEKSへの助成を通じた自然との共生モデルの更なる普及に強い期待を表明しました。
続いて挨拶に立った環境省の松澤裕地球環境審議官は、環境省と基金が連携したCOMDEKSへの資金拠出は、生物多様性分野における官民の協調出資による支援の好事例として国際的にも高く評価されているとして、COMDEKSに対する継続的な支援に改めて意欲を示しました。
その後、UNDP本部でCOMDEKSの全体統括を担う、UNDP小規模無償プログラム(SGP)パートナーシップ・スペシャリストのリサ・エドゥ氏より、COMDEKS フェーズ4の概要の説明と進捗報告について、テーマ別の資金分配率や評価指標に関する解説を交えながら説明がありました。
続いて行われたパネルディスカッションでは、冒頭に、国連大学サステイナビリティ高等研究所(UNU-IAS)リサーチフェローのスニタ・スブラマニアン氏から、レジリエンス指標に関するツールキット(手引き)の概要の紹介があり、同氏は単に項目に記入して終わるチェックリストではなく、持続可能性やレジリエンス(回復力)向上のための解決策を探すための指標としての活用に期待感を示しました。
その後、各国のプロジェクトのとりまとめ・調整役として活躍しているSGPナショナル・コーディネーターによる討議が行われました。まず、コスタリカのアリアナ・アラウホ・レゼンテラ氏、トルコのゴクメン・アルグン氏、カメルーンのエメ・カムガ氏が、自国で行われているプロジェクトの模様についてそれぞれ動画を流しながら紹介したうえで、モデレーターを務めたエドゥ氏を交え、取組みを推進する中で得られた気づきや活動の成果について意見を交わしました。コスタリカのレゼンテラ氏は、既に活動を行っている現地のNGO団体や公共機関に直接働きかけることで、地域コミュニティの結束・関係者間の協働を促しているとして、こうした取組みの更なる拡大に意欲を示しました。トルコのアルグン氏からは、気候変動のための取組みとのシナジーを期待し、プロジェクト実施対象地区選定の際には気候変動の観点を考慮したといった工夫が紹介されました。カメルーンのカムガ氏は、地元の大学との協働が始まったことにより生徒を通じて各村との連携が強化されたことなどを挙げました。
閉会に際し、挨拶に立った「SATOYAMAイニシアティブ国際パートナーシップ」(IPSI)の渡辺綱男事務局長は、経団連自然保護基金が認定した世界各地のプロジェクトへの支援とCOMDEKSを通じた各国プロジェクトへの支援の進め方には違いがあるが、それぞれの成果や経験の共有を通じて互いの強み・利点を活かしながら取組みの質を高め合っていけるよう、両者の相互連携を深めていくことが益々重要になるとの認識を示し、今後の展開に対する大きな期待を示しました。
また、締めの挨拶を行ったUNDPのハジアリッチ秀子駐日代表は、今日の激動する世界情勢において、人間の尊厳や自然との共生などの揺るがない価値観の保持や実行力こそが国際社会における国やコミュニティのソフトパワーになり得るとの見方を示し、COMDEKS関係者に対し感謝と激励のメッセージを送りました。
セミナー・プログラム
開会挨拶 (経団連自然保護協議会 会長 西澤 敬二)
登壇者、来賓、ならびに主催者を交えた集合写真
【参考情報】
・環境省ホームページ(報道・広報)
SATOYAMAイニシアティブ推進プログラム(COMDEKS)フェーズ4の実施について | 報道発表資料 | 環境省
・UNDP駐日代表所ホームページ(イベント)