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タイ東北部スリン県における学校を中心とした地域への総合的な環境教育活動(基金助成事業)

2015.7.23

公益財団法人オイスカ

 アジア太平洋地域を中心として農林業開発、人材育成、環境保全活動を展開する公益財団法人オイスカは、子どもたち自身が学校の敷地や隣接地で苗木を植え育てていく実践活動を通じて「自然を愛する心」や「自然と共生した持続可能な豊かな社会を築く力」を養いながら地球の緑化を進めて行くプログラム『「子供の森」計画』を1991年より世界各地で展開しています(2015年3月末現在35の国・地域の4,692の学校が参加しています)。

「子供の森」計画の活動を、さらに地域ニーズに沿った内容の深いプロジェクトへ展開するため、森林減少や土壌の劣化が問題となっているタイ東北部のスリン県において、2012年度より経団連自然保護基金の助成をいただき、将来を担う青少年を対象に、植林や環境教育、有機農業の実践指導を行いました。

スリン県が位置するタイ東北部は、かつては立派な森が広がっていましたが、1960年代以降急激に商業伐採や森林の農地化が進み、一時は森林率が3%近くまで減少したともいわれており、干ばつや洪水の被害が多発し、また一方で一部地域では、農薬・化学肥料の多投などにより土壌の劣化が進み、健康被害も報告されています。このような状況を改善するため、本プロジェクトではスリン県の学校を拠点に、植林と環境教育、および有機農業指導を行い、地域への普及を行いました。地域の植生に適した植林や環境配慮型の有機農業を普及することで、地域の自然環境や生物多様性が回復するだけでなく、将来的に自然災害の被害を軽減することや地域住民の生活が改善されることが期待できます。また青少年を主な対象として環境教育を行うことで、環境保全の意識と技術を身につけた人材を育成し、本事業の成果が一時的なものに終わるのではなく環境保全活動が継続されていくような村全体の体制づくりを目指しました。

2012年度からの3年の助成期間に16の学校と5つの村で取り組みを展開し、約7,100人の児童生徒、教師や村人たちが活動に参加し、約9.12 haの植林活動に取り組み、野菜・稲作などの有機農業及び養豚や堆肥づくりを交えた循環型農業を広めることができました。
また竹細工、草木染、竹炭づくりといった伝統的な森の活用手法の伝承や、地域の森の生物多様性の調査など、地域の森や自然と共生しながら育まれてきた文化について青少年への伝承・学習活動にも力を入れ実施しました。

子どもたちの植林の様子
植林活動は子どもたちの大の楽しみ
植林地の様子。養分が少ない土地のため、追肥しながら育成活動を行っていく

その結果、地域の森が徐々に再生されるとともに、子どもたち、そして住民たちの意識自体を変えてくことができました。学校と村が協力しあって地域の森を守る意識や体制が整うとともに、苗木を育てたり、農作物から得られる収入を次の植林活動へ活かすなどの、地域の環境保全活動を持続的な取り組へと発展できる連携体制もできつつあります。今後もこの活動を地域住民たちが主体となって持続的にプロジェクトが実施できるよう支援や働きかけを続けていきます。

タガオ村での植林、学校とコミュニティーの協力体制のもと育林活動が続いている。
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