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わが社の自然保護・生物多様性保全活動(サントリーホールディングス株式会社)
2015.7.24
サントリーホールディングス株式会社(会員企業)
ウイスキーやワイン、ビール、清涼飲料など、サントリーの事業の多くは、水や農作物などの自然の恵みによって支えられています。なかでも良質な地下水である「天然水」は、サントリーにとって生命線といえます。サントリーは、「水と生きる」というコーポレートメッセージを掲げ、この貴重な水のサステナビリティ(持続可能性)を守るため、多様な活動を行っています。
サントリー「天然水の森」(水源涵養(かんよう)活動)
「天然水の森」の活動は、全国各地の工場の水源にあたるエリアで、森林が持つ、地下水を育む力を維持、向上させるために森林整備をしていく活動である。2003年に熊本県の阿蘇・外輪山からスタートし、現在までに設定した「天然水の森」は、全国13都府県18ヶ所、面積にしておよそ8,000ヘクタールにのぼる。
「天然水の森」では、まず、サントリー社内の水専門の研究機関である「水科学研究所」が、水文学(すいもんがく)に基づいた水に関する調査を行う。水の成分分析に加え、地下の地質・地層の調査、工場とその周辺の井戸情報などにより、どこから、どのような地層を通って、どのくらいの歳月をかけて流れてきた水なのかを、推定。これにより、全国各地の工場の水源となるエリアを特定することができる。
さらに、植生、土壌、鳥類、昆虫、砂防、微生物など、さまざまな分野における多彩な研究を、それぞれの分野の第一線の研究者、大学の先生方、有識者の方々とともにすすめている。その研究内容をふまえたうえで、それぞれの森の数十年後、百年後のあるべき姿を描き、それを実現するために整備活動をおこなっている。
いま日本の森で起こっている、手入れ不足のスギ・ヒノキの人工林の問題に加え、鹿の食害、マツ枯れ、ナラ枯れ、いずれも生物多様性の劣化が大きな要因であると考えられている。従って、「その土地本来の生物多様性を、いかに再生していくか」が根本的な課題だといえる。多様性に富んだ豊かな森をつくることで、豊かな土をつくり、その土の力で、良質で豊かな地下水を育む。それが、「天然水の森」の目指しているところである。
2020年目標 ~野鳥保護活動と「天然水の森」拡大~
サントリーは、1973年にウイスキーづくり50周年の記念事業として「愛鳥キャンペーン」を開始した。野鳥が安心してすめない環境には人も暮らすことはできない。野鳥を守ることは、人の暮らす環境を守ることにつながる。当時、高度成長と引き換えに失われていく豊かな自然を想い、野鳥のイラストを使った意見広告を、新聞にシリーズ掲載した。同じ年に、白州蒸溜所の敷地の3分の2にあたる50haを森にして「鳥の聖域=バードサンクチュアリ」とし、野鳥が安心してすめる場所をつくる活動も始めた。
2014年には、サントリーグループの企業活動がよりグローバル化していることを踏まえ、2050年に向けた『サントリー環境ビジョン2050』を策定するとともに「2020年目標」を設定した。サントリーグループは、自然の恵みに支えられている企業の責務として、持続可能な地球環境を次代へ引き渡すことを目的に、2050年に向け、主要な事業展開国における自然環境保全・再生への積極的な取り組みに挑戦する。
また、「2020年目標」として、生物多様性の象徴である野鳥の保護活動をグローバルに展開する。具体的には、国内すべての「天然水の森」における、生態系ピラミッドの頂点に位置するワシ・タカ類の営巣・子育ての実現と、海外における野鳥保護活動の支援を目標に掲げている。さらに、「天然水の森」の面積を12,000haに拡大することを目指す。これは、国内の自社工場で使用する地下水量を育む面積の2倍に相当する広さである。
次世代環境教育「水育」
森と水の大切さを次の世代に引き継いでいくために、「サントリー天然水」のふるさとである、山梨県白州、鳥取県奥大山、熊本県阿蘇のフィールドで、「森と水の学校」を開催している。これは、自然体験を通して水の大切さを学ぶ「水育(みずいく)」と称する環境教育プログラムである。
「森と水の学校」は、2004年に開始して以来、2014年までに約17,500人の小学生と保護者が参加。また、小学校に出向く「出張授業」も合わせて実施しており、これまでに約75,000人の子どもたちが参加した。
さらに、2015年にはベトナムでも活動を開始した。
「水と生きる」企業として、サントリーは、50年後、100年後をみすえながら、水と生命(いのち)の未来を守る活動を継続していく。
以上
(寄稿 コーポレートコミュニケーション本部 小林章浩氏)