ホームトキ野生復帰を中長期的に支える棚田・里山維持 管理システムの構築と自然再生支援ネットワークの形成(基金助成事業)

トキ野生復帰を中長期的に支える棚田・里山維持 管理システムの構築と自然再生支援ネットワークの形成(基金助成事業)

2015.8.21

新潟大学朱鷺・自然再生学研究センター

教育・研究機関の活動として、新潟大学・朱鷺・自然再生学研究センターの活動の概要をご紹介します。
同センターが取り組まれている「トキ野生復帰を中長期的に支える棚田・里山維持管理システムの構築と自然再生支援ネットワークの形成」事業は 2015年度経団連自然保護基金の支援プロジェクトに選ばれています。    (経団連自然保護協議会事務局)

<支援プロジェクト概要>

トキ野生復帰エリア内の里山・棚田は利用放棄され 植生遷移が著しい。トキ野生復帰のためのビオトープづくりや環境教育 を継続的に行うため、棚田里山管理者の育成、エコツーリズムガイド養成 などを行う。

<新潟大学朱鷺・自然再生学研究センターの概要>

2008年9月25日,27年ぶりに佐渡の大空に10羽のトキが羽ばたき,トキの野生復帰が大きな一歩を踏み出しました。それに呼応し同年12月,新潟大学にトキをシンボルとした総合的な自然,地域再生に関するプロジェクトが立ち上がりました。
『新潟大学超域朱鷺プロジェクト』です。さらにはその活動を発展,盤石とするため,2010年4月佐渡市に『新潟大学 朱鷺・自然再生学研究センター』が開所しました。


■朱鷺・自然再生学研究センターの目標

私たちは大気・水,食料などの生命基盤,地域の風土・文化,そして安全な暮らしを自然の恩恵,すなわち生態系サービスに依存しています。生態系サービスは,生態系の構造と機能をつかさどる生物多様性に支えられています。しかし,人間活動はトキなどの生物を野生絶滅させ,生物多様性を低下させてきました。そのため,持続可能な社会,生活を維持していくためには,生物多様性の保全を核とした,劣化した生態系の構造と機能を復元,回復する自然再生が必要不可欠です。
 新潟大学は,野生絶滅したトキの野生復帰という世界的に注目されている自然再生の現場に立地する地元大学として,将来的に自然再生を支援していくことが社会から強く期待されています。このことを踏まえ,野生絶滅したトキの復元を自然再生のシンボルとして共有できる中国,韓国,および極東ロシアの東アジア地域の大学・研究機関と連携,協働しながら,自然再生学の中核となる教育・研究拠点を創成します。そこではトキの復元を成功させるとともに,それをケーススタディとした自然再生プロトコル(protocol=手順や基準)としての”佐渡モデル”を世界に発信します。
 そして本プロジェクトは,実践的研究活動を通し,自然科学を横断し,人文・社会科学とも融合した学際的環境科学の新しいパラダイムである自然再生学を構築します。自然再生学では,遺伝子,種,個体群,群集,生態系,景観の各レベルを対象とした理・工・農学の基礎知識と技術に,合意形成など地域社会が自然再生を受け入れるための手続きなども含む知識,技術を体系化します。


■朱鷺・自然再生学研究センターの活動

トキの試験放鳥により,生物多様性の保全,そのための里地里山の再生,循環型地域社会の構築をキーワードとして進められてきたトキの野生復帰は,地道で息の長い取り組みに向けて本格的なスタートをきりました。野生絶滅したトキを野生復帰させるということは,トキが生息できる里地里山の半自然生態系の機能を,生物多様性保全の視点から持続的に維持管理し,保障することを意味します。さらに,トキの野生復帰は,20世紀型の効率を追求した社会システムにより崩壊した里地・里山生態系や循環型社会を,科学的知見に基づいて再生する”佐渡モデル”として,生態系,地域社会の再生・活性化ビジョンの作成に生かされなければなりません。
 自然再生を順応的に実施していくためには,次のような一連の過程を繰り返えす必要があります。まず第1段階として対象となる生物,環境のモニタリング,第2段階としてモニタリング結果もふまえて自然再生を受け入れ,取り組む地域創りのための社会教育・合意形成,そして第3段階として自然再生を支える様々な組織の能力向上の支援(キャパシティービルディング)です。
 これまで,新潟大学ではトキの野生復帰に向けた先行プロジェクトとして,試験放鳥の地理的核となる場所に約100枚の棚田(30ha)を再生整備し,生息環境創出の実験フィールドを造成し,佐渡全域を対象にGISデータベース上でトキの好適生息環境予測モデルと餌量推定モデルをもとに自然再生シナリオ案を検討してきました。
 センターでは,先行プロジェクトの実績を研究の基盤としながら,トキ野生復帰のための生息環境創出,再生シナリオ作成の順応的な検証を通した研究を実施していきます。そして,最先端の知識,技術,例えばDNA,安定同位体を利用した分析技術,アドホックネットワークを利用した生物追尾技術とGISを利用した空間明示技術,さらに合意形成過程を融合した,自然再生に必要なDNAから景観,合意形成までを網羅した自然再生シナリオ(COSMOS: Conservation & Social Model Scenario)を開発します。
 また,自然再生に必要な基礎的研究,技術開発を牽引する先端的研究者を育成するとともに,具体的な手続きを含む自然再生のマスタープランを立案し,その活動を現場で指揮・指導する自然再生のシナリオライター,ディレクター,さらに現場で手腕をふるうアクターを育成していきます。


詳しくは下記のホームページをご参照ください。

http://www.niigata-u.ac.jp/transdiscipline/toki/center/c_gaiyou.html


新潟大学朱鷺・自然再生学研究センター事務局(事務担当)新潟大学研究企画推進部研究推進課研究推進係
〒950-2181  新潟市西区五十嵐2の町8050番地
TEL 025-262-6602 FAX 025-262-5645
e-mail kenkyo2@adm.niigata-u.ac.jp

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