ホーム経団連自然保護基金支援実績これまでの支援プロジェクト

これまでの支援プロジェクト

支援プロジェクト2024

はじめて助成+後発開発途上国NGO助成(*)

インドネシア

1.絶滅危惧種ジャワナツメグ (Myristica teysmannii) の地域外および地域内保全のための生態学的研究

ジャワナツメグはIUCNの絶滅危惧種に指定されインドネシアの固有種です。この植物の生態を理解し、残された生息地の一つであるセンプ島の保護林において個体数減少に及ぼす影響要因を解明することを目的とされています。この活動を地域内外の保全戦略に役立てたいとのことです。

Research Center of Ecology and Ethnobiology, National Research and Innovation Agency/インドネシア

絶滅危惧植物ジャワナツメグの調査場所

2.都市開発における生物多様性保全と気候レジリエンスの意識向上のための農業生態学の推進

環境課題として農家は化学農薬などに頼っていて、使用量の増加は生物多様性や気候に悪影響を与える可能性があると考えられています。そこで、都市開発が進むスカウェニン村でアグロエコロジーの概念を若者と農民の意識向上のために普及し、生物多様性と気候変動への貢献度を高めることが狙いであるとのことです。

DeTara Foundation, Indonesia/インドネシア

DeTara Foundationによる農業生態学の推進のための現場

ナイジェリア

3.ナイジェリアのクロスリバー州のコミュニティ林の持続可能な管理を確保するためのGnetum Africanumの植樹

ナイジェリアでイコム地方は森林が減少し続けており、生物多様性に悪影響が出始めています。地域の森林保全と炭素吸収機能を利用することで長期的な気候変動対策とし、果実のような副産物生産による生計手段を得るための植樹を行われます。また地域固有植物であるGnetum Africanumの減少を防ぐ活動であるとのことです。

Citizens for Environmental Safety/ナイジェリア

クック諸島(ラロトンガ語)

4.Manuaeビジターセンターと博物館

2005年の初頭に、5つの大嵐がクック諸島近海で発生し地域住民の家屋だけではなく、自然環境や生物多様性が壊滅的な被害を受けました。マヌアエ環礁はサンゴであるため気候変動に効果があることが知られています。この環礁を回復軌道に乗せることで海鳥の個体数など生態系を支えていることが分かっています。また海域と陸域の生態系連携性を高めることで海面上昇に良い効果をもたらすと考えられています。

Manaue Enua Conservation Trust/クック諸島

バングラデシュ

5.バングラデシュにおける絶滅危惧種エミスムツアシガメの飼育下での生息地への再野生化(*)

絶滅危惧動物に指定されたエミスムツアシガメは、狩猟と生息地の減少により個体数が激減していることが分かっています。申請者のプロジェクトは地域住民と連携し、保護繁殖・再野生化・先住民によるリスク低減にて、かつての生息域にエミスムツアシガメの自立増加ができるように長期的な取組みが開始されます。

Creative Conservation Alliance (The Society for Conservation of Natural Resources)/ バングラデシュ

絶滅危惧動物エミスムツアシガメ

ベトナム

6.日本とベトナムの学校現場の実践交流を通じた包括的な環境教育モデルの構築

申請者は、長年フエで環境に関心のある小中学校3校に教育を提供されましたが、気候変動、海洋プラスチックなど現代社会の課題に対して、生物多様性やグローバルな視点から地域を捉え直すような教育水準の高い環境教育授業を展開することが出来ていないとの気づきがありました。要因として、1)情報技術の発達が知識習得を容易にしたが本質的ではない、2)そもそも環境教育の実践者が少ない、3)良質な環境教育活動の蓄積とネットワークの不足が上げられております。本事業にて日越の現場交流を通じて教育の質を向上させる一つのモデルを構築し、普及を目指すとのことです。

認定NPO法人ブリッジ エーシア ジャパン/日本

環境教育授業の様子

モザンビーク共和国(アフリカ)

7.モザンビーク共和国ペンバ寺子屋環境保全ワークショップ

開発による海洋汚染が始まっており、特に大型プラスチック廃棄物の漂流が増加しているとのことです。課題認識として学校でも環境教育がなく、市民教育として実施していく必要があります。そこで多様な海洋生物の減少と、故郷の自然価値を知らない子どもたちへ環境教育を実施します。未来を担う子どもたちへの環境座学と体験を実践することで、生物多様性豊かな生態系をもたらす自然保護活動を継承できる仕組みをつくることを目指す取組みです。

一般社団法人モザンビークのいのちをつなぐ会/日本

日本

8.森を巡る學舎

京都丹波高原は連続する山岳地形や複雑な原流域の河川環境により、多様で豊かな生態系が広がっています。しかし、この原自然やその地域の伝統文化を次世代に継承していくには、環境教育が不可欠です。ビジターセンターはこれらの自然を保護するため、野外活動や講座を通じて保護活動を推進しています。また観光客や地域住民に向け、自然や生物多様性の重要性に焦点を当てた活動を展開しています。参加者は、楽しみながら実践的な知識や保護技術を学びつつ、保護活動に積極的に参加する姿勢(意識変化と行動変容)を育むことが最終目標とのことです。このプロセスで参加者は実際の体験を通じて自然への興味、生物の多様性や生息環境条件の理解、自然への深い愛着を培うことが目的です。

京都丹波高原国定公園ビジターセンター運営協議会/日本

自然を保護するための野外活動

9.外来生物のいない琵琶湖を取り戻そう

琵琶湖では、多くの固有種が生息しており、特有の生態系が形成されています。固有種は、昔からの地域の重要な食文化にもなっています。しかし1980年代以降、外来生物により、固有種が激減していることが分かりました。このままでは、固有種が絶滅し、食文化も途絶えてしまう恐れもあると認識されています。琵琶湖の生態系を回復するため、現状を広く一般市民に知ってもらい、釣りによる外来魚駆除活動を行い、外来生物を減らす活動を市民とともに広げていくことを目的とされています。

琵琶湖を戻す会/日本

琵琶湖沿岸での外来魚類の釣り風景

10.生物多様性棚田活動戦略2025年の改訂に向けた生物多様性豊かな棚田保全と自然体験、環境教育活動ステップ

棚田LOVERSでは後継ぎがいない放棄田が後を絶たず、喫緊の課題となっています。放棄田を再生し、生物多様性を守る重要な自然環境として保全を17年行ってきたとのことです。2016年には生物多様性棚田活動戦略を専門家と地域の団体と共に策定し、2020年には中間年ということで改訂版も発行されました。その背景に基づき、本事業では、昨年に引き続き、ターゲット7とターゲット 20を踏まえ、農薬・化学肥料を使わずに棚田で作物を栽培し、モニタリングと調査、専門家や地域の方の協力のもと、生き物観察等の自然体験、生物多様性と食に関する環境教育、2025年には10年目の戦略改訂に向けての活動を行うとのことです。

NPO法人棚田LOVERS/日本

春のダンダン祭の様子

標準事業助成

インド

11.インドにおける気候変動に強い社会生態学的ランドスケープの形成

南インドは気候変動リスクや災害に見舞われやすい地方です。カーボンニュートラルに配慮した開発をするため、社会生態学的生産ランドスケープ(SEPLS)にスコープを当て、気候変動や防災の情報、知識や技術を地方政府へ提供することを目的とされています。ゆくゆくは地域住民の生活と生計の向上になればよいと考えられています。

M. S. Swaminathan Research Foundation/インド

インド、スガンダギリ村の地滑り被災地跡

インドネシア

12.共生:人間とゾウのコンフリクト緩和

南スマトラ州で人間とゾウのコンフリクトが増加しており、少なくとも60haの農園が、経済損失では400万円以上に計上されました。このコンフリクトは人間にもゾウにも致命的な結果をもたらすことが分かっています。申請者はこのコンフリクトを緩和し、アカデミアと協力して地域住民がリスクを回避できることで持続的な地域環境の形成に影響することが狙いとのことです。

Belantara Foundation/インドネシア

13.インドネシア、アチェ州の地域レンジャーによるウル・マセン森の生物多様性保全および生態系サービス保護

ウル・マセン森林は違法な野生動物の密漁や森林伐採等により生態系が毀損されています。周辺の地域住民は直接的なリスクに直面しているが対処方法が未知のままです。この活動は、地域住民と政府の関係者のキャパシティビルディングに寄与し、両者間の調整を図ることで、長期的な利益と森林保護につながるものです。

Perkumpulan Rincong/インドネシア

レンジャー・パトロールを支援するための蜂の巣収穫

14.ジャワ島北海岸におけるマングローブ林の保全と持続可能な利用の促進プロジェクト

気候変動問題への対応の必要性などを背景に、インドネシア政府環境林業省は近年の大きな目的としてマングローブ林の再生を国家的課題に掲げられました。マングローブ林の再生は喫緊の課題です。また、カーボンニュートラルに機能するため国内外の企業がマングローブ植林に関心を寄せており、具体的な植林活動にむけた情報を必要とされています。本プロジェクトではジャワ島におけるマングローブ生育状況および植林が必要とされる地点の調査を行うことで、マングローブ林の再生活動に必要な情報収集を行うとともに、調査地にてマングローブ林の再生活動を進めるとのことです。

日本環境教育フォーラム/日本

ジャワ島北沿岸におけるマングローブの植樹

15.インドネシア、selaut Besar島における絶滅危惧種であるウミガメの保護

シムルー島では絶滅危惧動物である3種のウミガメが生息しています。ウミガメの卵はインドネシアでは珍味とされ、猟師やココナッツ収穫業者が密漁していることが問題です。1990年以降は法律により保護されているが、営巣保護のために警備員を配置する必要があると考えられています。この取組みは絶滅危惧動物を持続的に保護する活動です。

TurtleFoundation/広域/複数国

インドネシアのセラウト・ベサール島で撮影されたアオウミガメ©Turtle Foundation

16.インドネシアの中央カリマンタンにおける熱帯泥炭湿地の林回復のための森林再生

セバンアウ国立公園は本来湛水状態なので火災に強いが、山火事が頻発することで土地が劣化したことが分かっています。このような泥炭地の回復を目指し、先住民が保護活動を主導し、持続的な生計開発を通じて生活向上につなげることを目指しているものです。また植林による再生を図ることです。

Borneo Nature Foundation/インドネシア

17.Kapuas HuluとDanau Sentarum国立公園周辺地域における非木材林産物(ナッツ)の地域起業の開発

Danau Sentarum国立公園(DNSP)は、約250種の鳥類、約150種の哺乳類等が記録され、生物多様性の宝庫として知られるが、2021年に提案団体が行った調査では、アブラヤシプランテーションが拡大し、モノカルチャーへの転換による森林面積の減少、土地の侵食による水質汚染等により、希少な動植物種の生息状況は危機的となりました。本事業では地域住民に木材伐採に頼らない天然ハチミツと、ナッツの販売、マーケティング等の支援を行うことを通じ、生計向上を図ることにより、アブラヤシプランテーションの拡大を抑制し、国立公園の生物多様性保全の維持となることを期待しています。

一般社団法人コペルニク・ジャパン/日本

ウズベキスタン

18.ウズベキスタン沙漠緑化プロジェクト

国際主要機関がアラル海湖底の沙漠緑化に着手しているが、サクサウールの植栽のみで他の有効な方法の発想・実践が見慣れないようです。「塩の沙漠」と化したアラル海湖底は塩類集積が酷く10日に1回の割合で白い砂嵐が発生。結果、生き物の姿は消え、周辺住民に呼吸器系の深刻な健康被害を引き起こしました。オイスカは“塩の沙漠”と化したアラル海湖底において、1)植栽効率・播種効率・生存率を向上させる機材の作成、2)塩害地での緑化を実現するための技術・ノウハウ供与等により関係機関と協力し、早期に緑あふれ多くの生き物が棲む新しい形の自然の楽園へと変えていくことが目的です。

公益財団法人オイスカ/ウズベキスタン

エクアドル

19.ガラパゴス諸島イサベラ島における保全管理行動により絶滅危惧植物スカレシア・コルダータを防除する

絶滅危惧植物であるスカレシア・コルダータを保護するため、外来植物種の蔓延状況をマッピングすることです。現地に設置された温室で苗木を育て、最低5箇所以上の調査地で移植し、その回復状態をモニタリングしながら在来植物減少の対策事例を確立し、政府機関と防除について連携することとしています。

Charles Darwin Foundation for the Galapagos Islands/エクアドル

タイ

20.森林を回復させる若者たち

若者たちは環境課題に関心があり、政府の対策が進展しないことに不満を抱いています。このプロジェクトはこの若者たちに必要なスキルと知識を教育し、気候変動と生物多様性保全に直接働きかける行動を促すことです。学校の土地を利用し、自生固有植物の種子採取から植樹までの管理と運営を実践することを予定されています。

Forest Restoration Research Unit, Chiang Mai University (FORRU-CMU)/ タイ

The Gawilla Schoolの学生で森林を回復させることをテーマにした周知イベント

バングラデシュ

21.新型コロナウィルスの影響を受けた人々によるテクナフ半島での生物多様性の持続的な管理促進

テクナフ半島は森林伐採や土地利用の転換などの影響を受け、生物多様性が減少傾向にあるようです。この地域住民に持続的な自然資源利用ができる教育を提供することで、新型コロナウィルスの影響を受けた人々の能力向上を目的とされています。

Bangladesh POUSH/バングラデシュ

ブラジル

22.絶滅危惧種アオヒメバトの生計向上を通じた保全

ブラジルは自然が豊富な国であるが、鳥類は局所的に、絶滅の危機に瀕する種数が世界ワースト1と危機的な状況にあります。過去より生存が確認されず絶滅したと考えられていたアオヒメバト12羽が、2015年ブラジル南東部で75年ぶりに再発見されたようです。アオヒメバトはブラジルの固有鳥類です。本事業では、アオヒメバトの生息地を保全し、個体数を増加させるとともに、地域住民の参加と協力を得ながら、保護区のセラド(サバンナの草原)環境を保全することを目的とされています。

バードライフ・インターナショナル東京/日本

ベトナム

23.絶滅危惧鳥類であるコサンケイ (Lophura edwardsi) の再野生化のための自然教育および地域住民の参画

クアンビン省のコサンケイの野生復帰予定地は過去に戦争で荒廃し、在来植物を植林する必要がある土地です。コサンケイはベトナムの野生では絶滅していると考えられている鳥類です。この活動は自然教育センターを建設し、地元の小学校や保護繁殖センターと協力することで環境教育プログラムを開発し、試験的に再野生化を目指されています。

Viet Nature Conservation Centre/ベトナム

環境教育を実施している地元小学校

マレーシア

24.既植林地周辺での動植物の生態調査及び、先住民族の経済的自立の為のエコツーリズム開発支援

ボルネオ島の地域は、動植物の生息地である森林が過度に伐採され減少し続けてきました。過去25年以上の植林活動の成果により、既植林地では木々が育ってきており、希少な動植物が少しづつ戻ってきていることが確認されています。
現地大学の教育機関や州政府の力を借りながら、先住民と共に持続可能なエコツーリズムを導入し、彼らの新たな就業機会を作ると共にアグロフォレスト活動による彼らの地場農産物の販売にも繋げ、コミュニティーフォレストの仕上げとして行くプロジェクトとのことです。

特定非営利活動法人ボルネオ熱帯雨林再生プロジェクト/日本

25.マレーシア・ダナムバレイ保護区におけるオランウータンの長期調査を基盤とした、人材育成と教育普及事業

申請者は2004年よりマレーシア・サバ州にあるダナムバレイ保護区で、野生オランウータンの長期調査を行ってこられました。この地域は開発等による森林伐採が続いており、オランウータンの生息数と生息地を維持するためには、オランウータンの長期調査に加えて、地元や観光客の理解を得ること、そして、申請者のような外国人研究者ではなくマレーシア人が自国の将来を考えながら保全活動を企画・運営することが重要です。活動は主に3つ、1)オランウータンの調査研究、2)オランウータンの生態や調査技術を知るマレーシア人の指導者や研究者を育成、3)地元や観光客、関連組織にオランウータンを保全するための教育普及を行う、とされています。

日本オランウータン・リサーチセンター/日本

ラオス

26.ビエンチャン特別市グリーン政策における生物多様性配慮アクション強化プログラム

ラオスでは近年、交通渋滞や環境問題をはじめとした都市問題が顕在化しており、こうした課題の解決を図る必要があります。本プロジェクトは、ラオス林野行政と本申請者が協働し、生物多様性を主流とするグリーン政策のための活動を社会実装することを目的とされています。ラオス政府は、森林率70%回復を目標として、向こう5年間で、オフィス、公共公園、道路沿いに約300万本の観賞用樹木の苗木を植樹する計画を打ち出されました。しかし地域の生物多様性やコミュニティのニーズへの配慮は不十分である。政策立案者と地域住民・研究者など様々なステークホルダーが連携し、人々の幸福度、経済性・生物多様性の利益のバランスがとれたグリーン政策の実現と社会実装を進めていく必要があります。

公益財団法人地球環境戦略研究機関 国際生態学センター/日本

ビエンチャン特別市ネイティブツリーが優占する「精霊の森」_都市緑化の手本

広域/複数国

27.Eco-DRR遺産(仮称)認定システムの構築

生態系の機能や役割を防災や減災に効果的に活かすアプローチはEco-DRR(Ecosystem-based Disaster Risk Reduction)として、その重要性が国際的に理解されつつあるようです。日本では自然災害が発生し、気候変動が悪化するにつれて、深刻さが増しています。これまでのプロジェクトにおいて日本及びアジアの伝統的、地域的な湿地に関するEco-DRRの事例を調査、収集してきました。本プロジェクトではEco-DRRの事例が専門家によって評価されるEco-DRR遺産の認定システムの構築を目的とし、事例がより認知されることで地域の減災・防災、気候変動への適応に寄与することを目指されています。

特定非営利活動法人日本国際湿地保全連合/広域/複数国

タイのBung Non Bonという遊水地訪問時の風景撮影

28.ベンガル湾沿岸諸国における責任ある漁業資源管理(クラブバンク)の普及啓発および実践

ラムサールセンターは2016年から4年をかけて、ベンガル湾域の湿地の賢明な利用の実現を目指してこられました。同地では乱獲に伴うカニ漁獲量の減少が報告される一方、クラブバンクと呼ばれる水産資源の減少を防ぐ管理手法が優良事例として特定されました。その普及や活動連携のために湿地国際協力ネットワーク(通称BoBWeT)を立ち上げられました。本事業では、このネットワークを活用し、ベンガル湾沿岸諸国での漁業者主導のクラブバンクを用いた持続可能な漁業の実践とともに管理手法に一層の国際的関心を集めるための関係者間ネットワーキングの構築を目指されています。

ラムサールセンター/日本

29.民間企業におけるCfN (Contribution for Nature) 自然貢献プラットフォーム活用の模索に関する共同プロジェクト

生物多様性世界枠組の目標を達成するためには、貢献度が把握が必要で、CfNプラットフォームは会員以外の保全活動に関する情報を把握しておらず、集約していく方法に課題があるようです。そこで経団連自然保護協議会とその助成先NGOと連携することで、能力向上を図り、このプラットフォーム活用で目標達成に向けて可視化を奨励されています。

IUCN (International Union for Conservation of Nature)/ 広域/複数国

30.日本版ネイチャーポジティブイニシアティブの立ち上げと東アジア展開(1年目)

世界へのインパクトが大きい日本・中国・韓国の東アジアにおいて、ネイチャーポジティブ(NP)を含めた生物多様性枠組(GBF)の達成は喫緊の課題である。NPの定義等の共通理解を促進し、優良事例やツールを拡散し、他分野の連携を促進するネットワーク団体を束ねる協働の場が必要です。世界レベルでは、ネイチャーポジティブイニシアティブ(以下、世界NPI)が2023年9月に発足。本事業では、2024-2026年の三カ年事業の中で、世界NPIの日本版を構想することで、GBFの全目標の達成を支える基盤を日本で構築し、それを東アジア三か国(日中韓)と交流しアジアでの実施・連携を目的とされています。

国際自然保護連合日本委員会/日本

日本

31.被災地里山救済・地域性苗木生産・植栽プロジェクト(通称:たねぷろじぇくと)

東日本大震災の大津波によって被災した宮城県山元町の海岸防災林と里山および生物多様性は壊滅的であったため再生する必要があります。本プロジェクトは、長野県と宮城県の教育機関(小学校・大学)によって構成される「被災地里山救済・地域性苗木生産ネットワーク」のメンバーの協働による地域性苗木の生産と植栽を行います。地域性苗木の生産管理に関する知識・技術、豊かな森林に暮らす動植物・生態・森林の持つ多様な生態などを楽しみながら学べる環境教育プログラムおよびワークショップを企画・実施し、小学生から社会人まで相互に学び合うことで、未来を担う若い世代の人材育成にも貢献していきます。

被災地里山救済・地域性苗木生産ネットワーク/日本

20231105開催 第9回たねぷろじぇくと植樹祭

32.遠州灘海岸におけるアカウミガメ及び海浜植物の保護

絶滅危惧動物のウミガメ類の繁殖地は北太平洋では日本の太平洋沿岸のみなので、日本が保護しなければ確実に絶滅に向かうことが分かっています。当法人は本州最大のアカウミガメの産卵地を発見以降、37年間ウミガメと産卵地の保護活動を実施しているが未だに課題を抱えています。オフロード車の海岸走行によりワダチで海浜植物が減少。海浜植物が枯れると数メートル規模で砂浜が低くなり、海水が入りこんで海岸浸食が起こります。そこで、産卵地の保護と砂浜回復のための事業を実施して海浜植物を繁殖させ砂浜の再生・回復を加速させることを目指されます。

特定非営利活動法人 サンクチュアリエヌピーオー/日本

33.世界自然遺産登録地等の島嶼生態系保全のための外来イエネコ対策への支援と普及啓発活動

捕食性哺乳類を欠く中琉球(奄美諸島、沖縄島北部)や周辺諸島では、特異な生態系を保全のために外来捕食者対策は喫緊の課題であるようです。とくにペット由来のイエネコ(野放しイエネコ)は、固有の絶滅危惧動物に深刻な影響を与えるため、環境省「生態系被害防止外来種リスト」で「緊急対策外来種」に指定され、早急な対策構築が求められる。本事業では住民や行政担当者を対象とした勉強会やシンポジウムの開催、対策関係者によるワークショップの開催など、普及啓発や関係者・組織のネットワーク構築を図るための活動により外来種問題の解決が目的とされています。

外来ネコ問題研究会/日本

34.四国地方にラムサール条約の「登録湿地」と「湿地自治体(ウェットランドシティ)」の実現をめざす普及啓発活動

四国の徳島、香川、愛媛、高知4県には、環境省の選定したラムサール条約登録「潜在候補地」が6か所、生物多様性「重要湿地」が39か所あるが、「ラムサール条約登録湿地」はないことが分かっています。そのため、四国に残る生物多様性豊かな湿地について、価値と重要性、保全と賢明な利用の必要性が地元の人々には十分には認識されていないようです。四国地方の里地里山にも、人口減少、高齢化、生活スタイル変化、森林の荒廃、耕作放棄、乾田化、ため池の埋め立て、外来種の侵入など環境劣化は喫緊の課題であると認識されています。四国にも「登録湿地」と「湿地自治体」を誕生させ、人々にその価値を認識してもらう重要なプロジェクトです。

JiVaラムサール(湿地を楽しむ仲間たち)/ 日本

「登録湿地」と「湿地自治体」の誕生を目指す候補地「加茂川河口干潟(愛媛県西条市)」

35.内水面の水生生物保全活動における侵略的外来生物の情報集約と対策提案及びその実行を目指すネットワークづくり

外来生物対策を行い、在来固有の生きものや環境を保全することは生物多様性枠組(GBF)の中でも重要なターゲットとして掲げられています。潮汐の影響のない淡水(内水面)においても水生生物の脅威となっている外来生物は増える一方で、対策には緊急性が求められるが、水中に生息するこれらの生物の防除は困難で負担が重く、長期継続がむずかしい状況にあります。その水域でなぜ外来水生生物を防除しなければならないかを地域住人に明確にし、その侵入初期に効果的な防除を行うとともに、その情報を集積することは、緊急かつ重要な課題であります。様々な関係者とのネットワーキングにより対策検討を進めるためのプロジェクトです。

全国ブラックバス防除市民ネットワーク/日本

亀成川を愛する会・琵琶湖を戻す会・名城大学谷口研究室・秋田水生生物保全協会で行われている外来種防除の地域活動

36.陸奥湾の高温から養殖ホタテ植樹プロジェクト

2010年青森県内は、30℃以上の日が10日以上も続きホタテ貝が斃死(へいし)した。地元の漁師から単なる対処療法では、今後ホタテ養殖は続かないと言われ根本対策が必要です。そこで白神山地で行っている植林事業で採取した苗木とその取り組んできたスキルを活かし、平内町の山から陸奥湾に注ぎ込む国有林に広葉樹を植え、フルボサンと鉄分を含む栄養と、腐葉土の中を通る冷たい水を陸奥湾に注ぎ込む植樹を増やすことで、持続可能な森林管理を実践を目指されています。

特定非営利活動法人 白神山地を守る会/日本

青森県、陸奥湾の海と山をつなぐ植樹祭

37.石垣島白保サンゴ礁保全人材を育成する陸域、海域での環境モニタリング手法の確立

白保集落では、白保サンゴ礁を「宝の海」「命つぎの海」と呼び、豊かな海の恵みを次世代に継承するために地域を挙げて保全活動に取り組んでこられました。海への赤土流入がサンゴ礁に悪影響を及ぼすことが知られています。夏花では農地周辺部へのグリーンベルトの植栽による赤土の流出防止活動を中心的に担うとともに、専門家や環境NGOの支援を受けて植栽効果の計測手法やサンゴ礁生態系の状態について科学的、体系的なモニタリング調査の確立を推進されています。本プロジェクトでは陸域・海域の環境モニタリング調査を夏花の主体的な活動として定着することを目的とし、地域住民も参加出来る調査されます。

特定非営利活動法人 夏花/日本

グリーンベルト活着状況調査の様子

38.沿岸の湿地から森林まで連続した自然の保全・再生と人材育成

地域住民は鳥類や水生動植物の生息環境や生物多様性について無関心であったようです。震災後の鳥類調査ではウェットランドが各所に創出されたことで県内でも有数の水鳥の渡来地となり、希少な湿生植物の生育地ともなったが復興工事によりそれらも減少傾向にあります。手遅れにならぬよう残された自然を守り生物多様性豊かな地域として将来に引継いでいく必要があります。そこで本事業は今ある森林や生物を保全するとともに、地域の生物多様性の核となる湿地を再生していく取組み、環境教育プログラムの実施と指導者の育成、学習フィールドの整備などの取組みを進められます。

一般財団法人C.W.ニコル・アファンの森財団/日本

39.アメリカザリガニ防除による里山水辺の自然再生

各地でアメリカザリガニが増加し、食害により多くの水生動植物が減少、全滅し、特に里山のため池の豊かな生物多様性が失われつつあるようです。本支援事業で 2期にわたりザリガニ捕獲装置と効率的な捕獲トラップを開発・改良した。全成長段階のアメリカザリガニを効率よく捕獲し迅速な低密度化が可能になり、速やかな実用化と普及が可能です。様々な環境の中で、これらのトラップの捕獲試験を行い、低密度化に伴う環境復元をモニタリングし効果を検証します。成果を全国的に普及し、里山等水辺の生態系復元を目指す取組みです。

NPO法人 シナイモツゴ郷の会/日本

40.道北サロベツのチュウヒ保護区創設に向けた活動

サロベツ湿原周辺は国内最大のチュウヒの繁殖地です。しかし、チュウヒの繁殖地のうち70%は国立公園外のササ原にあり、その存在はあまり知られていません。ゆえに保護区以外の地域は土地開発によって生息地が奪われることがあるようです。このため繁殖状況を把握し、開発事業者に工事の際の配慮を求めるとともに常に開発の危機にさらされているため、重要な繁殖地を購入し保護区として保全する必要があります。土地購入にあたっては地元の理解を得るために観察会や報告会を通じてまた対外的に普及啓発を進めることを目的とされています。

NPO法人サロベツ・エコ・ネットワーク/日本

日本にて唯一湿地で繁殖するタカ科鳥類、個体数の減少が懸念される「チュウヒ(絶滅危惧)」

41.風力発電施設の建設が渡り鳥に与える影響の調査と海外情報収集

日本では鳥類の渡り経路上に風力発電施設(風車)を建設すると、その経路が変わる“障壁影響”の発生の有無や程度についての研究がほとんどないようです。また風車と鳥との衝突事故(バードストライク)が課題としてあがっています。そのため、北海道の宗谷振興局北部で鳥類の渡りの状況を調査し、過去に経団連自然保護基金から助成での風車建設前の鳥類の飛翔状況をベースとし、障壁影響の事前・事後影響比較調査(BACI)を実施されます。風力発電施設の建設による鳥類での障壁影響の発生状況を正確に把握できるとのことです。また、国際学会への参加や海外視察で渡り鳥保全の考え方等を海外知見で学び、シンポジウム等で市民に普及されます。

公益財団法人 日本野鳥の会/日本

風力発電施設と渡り鳥

42.「三草山ゼフィルスの森」(大阪府能勢町)を中心とした自然保護活動と人材育成

かつては薪炭林として利用されていたが、シカによる植物の食害と樹林地の転用や耕作の放棄により、里山の生物多様性は急速に失われつつあるとのことです。その結果ヒロオビミドリシジミはナラガシワの明るい2次林に依存する絶滅危惧昆虫ですが、大阪府では最も絶滅の危険が高いとされました。本プロジェクトでは、市民、専門家、企業、行政が連携し、里山の生物多様性の保全を目的に、2次林や水田など里山の多様な生態系において、里山整備活動や普及啓発イベントを実施されます。

公益財団法人大阪みどりのトラスト協会/日本

タガメの田づくり田植えの集合写真

43.トキ野生復帰計画の新段階に対応した生息環境整備

佐渡島では、過去より野生トキの旧生息地であった小佐渡東部地域において重点的なハビタット整備が行われてきたが、放鳥トキの大部分は平野部に近い場所に集まり、430羽まで増殖したことで高密度化が地元農家との衝突発生につながるのではないかと懸念されています。耕作中の農家とのコンフリクト解消、夏期・冬期の餌不足の解消、密度過多の森林における営巣木不足の解消に課題があり、営巣木・餌場が一体化した統合型ビオトープを野生トキ生息域のみならず佐渡北部にも拡張が必要とされています。

特定非営利法人トキどき応援団/日本

統合型ビオトープ整備の様子(1)

44.ネイチャーポジティブを担う企業人のための生物多様性教育の開発と実践 ~森林性ヤマネの特性の解明を含めて~

社会問題とされている気候変動、災害、水リスク、生物多様性の損失などは喫緊の課題です。ネイチャーポジティブ達成には、早急にそれを担う企業人育成と知識の習得が急務であると認識されています。目的を次の5点とされました。(1)ヤマネの森林における生物多様性価値を調査すること(2)気候変動による冬眠動物ヤマネへの影響を八ヶ岳で探ること(3)企業人の生物多様性教育を実践すること(4)都市の企業緑地、森、田んぼでの生物多様性教育セミナーを実践すること(5)ヤマネの棲む森をOECM(保護地域以外で生物多様性保全に資する地域)にしていくこととともに、道路が森(企業林)の分断地点でアニマルパウェイの必要性を考えることが自分事化、自社化の取り組みに発展すると考えています。

一般社団法人ヤマネ・いきもの研究所/日本

協働事業助成

インドネシア

45.ジャワ島西部国立公園におけるジャワギボンの保全を目的とした生態調査と環境教育プロジェクト

同国立公園は高い生物多様性を有し、ジャカルタ首都圏住民にとって重要な地域にも関わらず、その認知度はインドネシア国内でも低いようで問題視しています。本プロジェクトは絶滅危惧種であるジャワギボンの生態調査を主軸として生息環境の把握を行うとともに、ビジターセンターの建設や環境教育を実施して、生物多様性保全に貢献することを目的とされています。プロジェクト終了時までに保全活動が国立公園管理計画に明記され、国内における更なる重要性が広く市民へ普及され、認知度向上を目指されます。

日本環境教育フォーラム/日本

インドネシア、ジャワ島西部国立公園に生息する絶滅危惧動物のテナガザル「Javan Gibbon」

46.ソングバードの絶滅回避と生物多様性保全 ~ローカルとグローバルの取組により解決策を導く~

東南アジア諸国で普及しているソングバードは鳴き声が良く、インドネシアの地元業者による乱獲が発生しています。絶滅危惧鳥類が過半数を占めており、深刻な状態ですが、コンテスト産業として成り立っており、保全との両立が容易ではありません。そこで本事業は、ジャワ島で地域住民と鳥獣保護区域を創出すること、飼育者やコンテスト主催者の行動を変革すること、東南アジア諸国の実態を調査し、各国NGOやIUCNに共有し、協働の取組み提言を目標に掲げられました。将来的にはソングバードの絶滅を回避し、個体数を増加・安定させることを目指されます。

一般社団法人バードライフ・インターナショナル東京/日本

地方の野鳥販売所で売られているシロハラチャムクドリの一種© Yogyakarta Ferry Hasudungan

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