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経団連自然保護協議会

会長挨拶

経団連自然保護協議会会長西澤敬二

経団連自然保護協議会会長 西澤 敬二

 

世界は今、持続的な経済成長の追求から、持続可能な社会の実現へと、目標転換を迫られており、我々には将来世代を犠牲にすることなく、また人間尊重の考え方を根底においた、責任ある行動が求められています。そして既に、SDGsの下に「地球環境」、「貧困」という地球規模の課題を同時に解決する挑戦が続いていますが、この地球規模の環境問題として、気候変動と同様に深刻な問題が生物多様性の喪失です。
世界最大の環境保全NGOであり、数千人の専門家を抱えるWWFは、2016年までの約50年間に生物の個体群は平均で68%減少していること、現在の人間の生活は地球の許容量をはるかに上回っており、このままの状態で人間の需要を満たすには地球1.6個分が必要であると試算しています。また、世界経済フォーラムは、世界のGDPの半分以上にあたる44兆ドルの経済価値が自然資本に依存していると試算しており、生物多様性の喪失は、気候変動の問題と相まって、食料問題や健康危機、自然災害の激甚化等を通じて経済の基盤そのものの崩壊をもたらしうる重大な課題といえます。企業が経営に生態系の保全・回復を組み込まなければならないのは、このように、私たちの経済活動が自然資本に大きく依存していると同時に、自然資本に大きなインパクトを与えているからです。
経団連自然保護協議会は、リオの地球サミットが開催された1992年に、「経団連地球環境憲章」を実践する活動のひとつとして、経団連が主体となって設立されました。同時に、経団連自然保護基金というファンドを設立し、アジア・大洋州を中心とした国内外の自然保護活動に対し、30年間の累計で、1,684件、約47億円の支援をおこなってきました。また、世界最大の自然保護ネットワークであるIUCNには、経済団体として世界で初めて、1996年に加盟しました。このような実績をもとに、国内外の環境NGOとの信頼関係を構築し、企業とNGOの交流活動を例年行っています。
さらに、企業への啓発活動も積極的に行ってきており、COP10の開会に先立つ2009年に「経団連生物多様性宣言」をとりまとめました。この宣言は、生物多様性の保全に取り組む企業の考え方・行動の原則を定めたものです。2018年には、「宣言」を改定し、「経営者の責務」や、「グローバルの視点」の重要性を追加するとともに、生物多様性と気候変動やサーキュラーエコノミーを統合した「環境統合型経営」により、「自然共生社会の構築を通じた持続可能な社会」の実現を目指すことを掲げています。
「経団連生物多様性宣言イニシアチブ」は、経団連生物多様性宣言に賛同する企業の多様な先進的取組みと、愛知目標に続く国際枠組であるポスト2020生物多様性枠組を見据えた「将来の取組み方針」を国内外に発信すべく、とりまとめたものです。256社・団体の社名とロゴを掲載するとともに、136社・団体の「将来の取組み方針、具体事例」を掲載しています(2022年5月現在)。あわせて、環境省と共に進める「生物多様性ビジネス貢献プロジェクト」では、日本企業の生物多様性保全に向けた取組みに関する動画とWebサイトを作成し、情報発信を強化しています。
本年は、国際社会においてポスト2020生物多様性枠組の採択が予定されている大きな節目の年であり、これを実施するための国内政策の議論も本格化します。また、2021年に英国財務省が発表した「生物多様性の経済学:ダスグプタ・レビュー」などを踏まえ、TNFD(自然関連財務情報タスクフォース)は、自然資本に関する情報開示の枠組みの策定を目指してプロトタイプを開発し、企業などステークホルダー参加型のプロセスで検討を進めています。
経団連自然保護協議会としては、国内外の動きに呼応しながら、経済界における問題認識の浸透や議論の発展、そしてグローバルなルールメイキングに貢献することで、生物多様性の保全にとどまらず、2030年までに自然資本の損失を回復軌道に乗せる「ネイチャーポジティブ」を実現すべく、積極的な役割を果たしていきたいと考えております。

 

2022年5月
経団連自然保護協議会会長
西澤 敬二

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